提灯探訪ブログ

提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。

[仕事場だより]2013/04/01

『京都で ひととき 提灯と』

"これまで一度も提灯に触れたことが無い"という方は、きっと大勢いらっしゃる事でしょう。

日本の伝統的な照明器具の一つである提灯。
用途によって、また、使われる地方によっても、様々な形や大きさ、デザインのバリエーションが生み出されてきました。


その用途も、単に照明器具としてだけではなく、神聖な場に捧げられる奉納品として、また、空間を演出するための装飾用具として等、様々な形で使われてきました。

そうした"特別な場で使われる物"、"特別な時に使われる物"、"装飾的に使われる物"としての提灯は、現代でも必要とされていて、時代と共に新たな素材を取り入れる等、変化しながら生き続けています。

ただ、私達の普段の生活の中では、"提灯を扱う仕事をしている"というような、特別な場合を除くと・・・
たまたま、お店や、神社、お寺等で見かけたり、お祭の時に飾られている提灯を目にしたり、という事はあっても、多くの方が"自分には、あまり関わりの無い物"として、通り過ぎておられるのではないでしょうか。

そのような、日頃、提灯に触れたり、使ったり、という機会の無い多くの皆さんにも、提灯作りの現場を見て、触れて、提灯をもっと身近な物として感じて頂くために、弊社では『職場見学と提灯作り(文字書き、絵付け)体験』を行なっております。

これは、京都市山科区勧修寺にあります弊社の工場で、「骨作り」→「火袋張り」→「文字書き」「紋入れ」「絵付け」→「道具打ち」→「油引き」という、職人が一つ一つ手作業で作り上げる、提灯作りの工程を順を追って見て頂き、その後、ご参加の皆さんにも、"火袋の直径が12cm、高さが21cm程の小さな弓張り提灯に、文字書きや絵付けの作業をして頂く"というものです。

この『見学&体験』は、主に修学旅行で京都に来られる、小学生から中学生、高校生の皆さんに
ご参加頂いておりますが、時には、伝統産業に興味をお持ちの大人の方々のグループや、お子さん達と保護者の方々が、親子で一緒にご参加頂く、ということもあります。
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また最近では、世界の様々な国から来日され、京都に滞在して日本語を学んでおられる、外国人の方々もご参加下さって、
年齢層も国籍も、とても幅広い皆さんが、弊社で"提灯と向き合うひととき"を過ごして下さっています。

私はいつも、体験のお世話係をさせて頂いて、皆さんが真剣に、また、楽しんで、ご自分の作品作りに取り組んでおられる様子をすぐ近くで見せて頂いております。
そして毎回、皆さんと、皆さんの力作達から、とても良い刺激と、元気を頂いています。

職場見学と体験を合わせて、1時間半から2時間程の、ほんの短い時間ですが、お越し下さったお一人お一人が、束の間でも提灯に触れて、向き合って、その方だけの提灯作りを楽しんで下さり、出来上がった提灯を楽しい思い出と共にお持ち帰り頂けますように、これからも、心をこめてお世話させて頂きたいと思っております。


製作部 MY