「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
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[提灯豆知識]2013/02/17
提灯の仕事をしていると、毎日、家紋が目に入ってきます。
堤燈と家紋は切っても切れない仲なのです。だから、家紋について調べてみました。
京都では昔から提灯と紋付の衣服、それに正月の雑煮椀などで紋を伝えてきたそうです。
本来、家紋というものは、平安時代、お公家さんの牛車や輿にに他の人のものと、区別がつくように、「家の目印」として文様を付けたのが始まりだといわれています。それが武士の世界にも広まり、旗や幕をはじめとして、袴や羽織などの衣服にそして、調度品にも家紋を入れる様なったようです。
公家でもなく、武家でもない我が家でも家紋があります。一般的に庶民が家紋を入れるようになったのは、広蓋や袱紗(ふくさ)などなど・・・これは明治期に入ってからのことのようです。
現在ではどこのお家でも、ご自分の家紋を持っておられます。なんとその種類は、4千から5千種ともいわれています。
本来紋というものは単純明瞭で一目でわかるものが主ですが中には、とても複雑で緻密なものが有り、職人泣かせの紋も結構多いです。
京都ではご自分の家の家紋を知らない人は、ほぼ無いと思います。家紋を知ることで家を守ってきたようです。商人の町である京都、その京都で商家を代々受け継いでいくことは自分達の生活を守るだけでなく、人々の生活を支え、引いては京の都を守っていくことでもあったからです。
親から家紋を受け継ぐことで、責任感といったものが同時に芽生えるのです。
現在ふつうに紋にふれる機会は、おそらく冠婚葬祭の時ぐらいだと思います。京都では紋を伝えるのにもっとも良い合理的な方法を持っています。家の紋の入った品を普段では目にふれない所にしまっておき、何か事ある時に取り出して丁寧に扱うことで、ただの装飾品ではなく大切なものとしてうまく伝承できるのです。
紋には男紋と女紋があるそうです。
男紋はその家の家紋。女紋は女性個人のもので母親の紋を継承したり、又、食べ初めの時や嫁入りの時に新たに定めることもあるようです。
地域によっては、嫁ぎ先の女紋を入れたり、男紋を入れたりしますが、京都では必ず花嫁の実家で定められた女紋をつけて嫁いで行きます。
ですから、実家に事があればその衣服の紋を見れば「この人はこの家から嫁がれたのだ」ということが一目でわかります。
京都で生まれた家紋は千二百年の歴史を経て今なお家族や親族の絆を守り人と人との交流を深め、京都を支える大事なものとして生活の中にしっかり根を下ろして生き続けている様です。スバラシイ文化ではありませんか・・・。
華緒華実多