「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[提灯豆知識]2012/04/11
小説家乃南アサさんの短篇集に「氷雨心中」があります. 酒造りの杜氏を始め、線香、染物、金細工、能面、提灯といった伝統工芸品に携わる職人達を題材にした6篇の物語が収められています。 筆者ならではの優れた心理描写とストーリー性もさることながら、丁寧な取材がなされたであろう詳細な職人技が描かれており、これらの物語の面白さを一層引き立てています。 その中の一篇「おし津提灯」は、東京のとある下町にある夫婦で営む提灯屋さんが舞台になっています。 もちろんこの中でも職人による作業風景、白張りが出来上がるまでの工程や、それに文字を描く際の苦労が詳しく書かれています。 私が初めてこの作品を読んだのは、今の仕事に就く前で、そのときはこのような工程の件には興味が持てず読み流していたのですが、改めて読み返してみると、その細かな描写に驚かされ、物語の面白さに厚みを持たせていることに気付くのでした。 皆さんの中で、これらのような伝統工芸に興味のある方は、この作品を一読されることをお薦め致します。 ところで、この「おし津提灯」の結果はと言うと ―ネタバレになってしまいますが― 風で煽られた提灯の中の蝋燭が倒れてお店もろとも焼けてしまうという悲しいエンディングが待っています。 提灯は"和紙と竹"と非常に燃え易い材料でできています。 もちろん弊社のものにも簡単には倒れない様、蝋燭立てが付いていますが、火を灯す際には十分注意を払って頂きます様お願い申し上げます。 製作部H