「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[仕事場だより]2012/04/05
提灯作り。私どもの職場で、提灯が出来上がるまでのプロセスを簡単に追ってみますと・・・
まずは、和紙や竹等の材料の調達。
どんな製品作りにも共通する事でしょうが、質の良い材料を安定して入手出来ることが、品質の良い提灯を作るためには欠かせない、とても重要な事です。
この竹は、用途に応じて加工し、提灯の本体を形作る竹骨になります。
竹骨で作った骨組みの上に和紙を張って、提灯の本体、その内部に明かりを灯す"火袋"に仕上げます。
この張り上がった"白張り"の火袋に、それぞれお客様からご注文を頂いた、文字書き・紋入れ・絵付けを施してデザインを仕上げます。
そして、最後に上下枠等の道具を取り付けて、提灯が完成します。
更に、屋外で使用される提灯には、必要に応じて防水のための"油引き"という工程が加わります。
こうした一連の作業工程 の中で、私は主に"紋入れ"の工程を担当しています。
火袋の正面・側面・後面等に、家紋等の紋章を入れる仕事です。
色は、黒紋・赤紋・薄墨紋等がありますが、提灯によっては、その他の様々な色を使う場合もあります。
提灯の紋入れも、年間通して様々な仕事をさせて頂きます。
神社や寺院にお納めする提灯。
個人のお宅で、お祭り等の年中行事の際にお使いになる提灯。
また、店舗の看板提灯等もあります。
そうした様々な提灯の中でも、毎年、ある決まった時期だけに登場する、特に季節感を感じさせてくれる提灯が、いくつかあります。
ちょうどこの時期、3月から4月にかけて紋入れの仕事をさせて頂く"五月人形用陣屋提灯"も、そういう提灯です。
この陣屋提灯は、5月5日・端午の節句に、男子の成長を祝って飾られる甲冑・武者人形、その左右を飾る一対の提灯です。
小さい物は、ちょうど片手にのせられる、直径11センチ位の可愛らしい物から、大きい物でも直径25センチ位の丸型の提灯です。
火袋は主に絹張りですが、中には極々薄い紙で張られた物もあります。
火袋の上下に取り付けられた道具も、朱塗りに金粉を散らした物や、全体が金色の物等、お祝いにふさわしい華やかな物が使われています。
この一対の陣屋提灯の正面に、墨で家紋を入れます。
陣屋提灯の紋入れが始まって、この小さくて綺麗な提灯が、職場にたくさん並びだすと、3月初旬のまだまだ寒さの厳しい中にあっても、"今年もこの季節が来たんだな・・・もうすぐ春が来る!"と、嬉しい気持になります。
大切なお子様の、健やかな成長を願って贈られ、飾られる五月人形。
提灯の紋入れも、そういう想いに添うように、一つ一つ大切に取り組ませて頂いております。
今年は寒さが長引いたので、桜の開花も少し遅めですけれど、漸く蕾がほころび始めたと思ったら、あの"春の嵐"。
霰混じりの雨風が吹き荒れて・・・、やっと顔を覗かせた桜の花も、びっくりしたでしょうね!
私が毎日通る並木道も、少しずつ桜色に染まってきました。
それぞれのご家庭に五月人形が飾られて、端午の節句をお祝いされる頃には、・・・若葉の美しい季節がやってきますね!
製作部 MY