「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[仕事場だより]2012/03/01
私の勤めている高橋提燈は、東京・浅草寺の大提灯を手掛けています。
浅草寺で最も有名なのが、風神雷神門に掛っている雷門提燈(当社カタログ表紙)の大提灯ですが、雷門提燈から仲見世通りをぬけて宝蔵門の小舟町大提灯をくぐり、本堂の志ん橋大提灯に着くまでが、浅草寺の大提灯通りです。
これらの大提灯は全て何年間も、風雨や雪などに曝されているので、時には、修理やお色直しの作業が発生する場合があります。
この間、浅草寺参道(大提灯通り・仲見世通り)の中央に掛けられている小舟町大提灯の、お色直しに、久しぶりに東京・浅草寺を訪れました。
この様な大提灯も、一般的に使われている和紙提燈も、基本的には和紙と竹で製作されています。(違いは、竹骨の厚さ太さ・和紙の厚さなど・・・・・)
人通りの多い境内に、建設現場さながらの足場を専門職の新門組の人々に組んでもらい
お色直しの準備開始になります。
人通りの少ない早朝7時前からの開始、日没までの作業になります。(原始的ですが、太陽光で確認しながら、色むらなどを調正する為)
大提灯の、お色直しの内容は、大提灯の埃払いから始まり(長年の汚れは少々では落ちません。) 提灯の赤い部分に朱色を調整して加えていきます。そして薄くなった奉納者名の文字(黒墨)入れなど等々で、4日間程の大提灯お色直し作業になります。
全ての作業が足場が組まれているとはいえ、吊り下げられた状態での手作業なので大変なものになります。
又、私の場合は、高い所が一番の苦手の為、足場に登っての作業が大変でブルブルの出張でしたが、お色直しを終えた小舟町大提灯は息を吹き返し美しくなりました。
近くへ行かれた際には、一度見てください。
大変な出張の反面、仕事が終わってからの息抜きは一段と楽しく、職人数人が社長にたかり、夕食を済ませて、灯りを求め仲見世や、浅草界隈を赤い顔になりながら、ぶらぶらと歩いていると、関西では見ない様なデザインの看板提燈や雪洞(ボンボリ)が,
下町情緒を醸し出しています。なかには、弊社で以前に製作させて頂いた看板提燈も見つけられ良い息抜きになりました。
そうそう、土産に酒が入りほろ酔いで気分が大きくなり自分のTシャツよりも高価な犬の浅草提燈柄のTシャツを、仲見世のペットショップで買ってしまいました。
たまには、都会の出張も良いものです。