提灯探訪ブログ

提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。

[仕事場だより]2012/02/21

心の灯(ともしび) 提灯

私が提灯の仕事に就いた、二十数年前、日本では「バブル」という時代であった。


人々は自分の足元を見つめる事よりも、遠くばかり見ることに熱心であったと思う。
私もその中の一人であった。
遠くに行けば「もっといいもの」「もっと楽しくて素敵な世界」が広がっていると思い込んでいたのである。
そんな時代に提灯の仕事で将来食べていけるのか迷った。しかし、それからは提灯を意識してみると、京都に住んでいる私には、祭りになれば各家の軒先には、門釣提灯をつるしていある家が多いし、一歩裏通りに入れば赤提灯の多いこと。その他いろいろなところで提灯に出会った。
その時考えた。「何故今さら提灯なのか」
単なる明るさを求めるならば省エネで明るい優れた電灯がいくらでもある。それなのに人々は文明に逆境した提灯を求めるのは、日本独自の和紙と竹骨という自然から与えられた素材で職人の手仕事で作られた伝統と文化が生み出す美があるのではないか。
提灯から漏れだす灯りをじっと見つめていると、自分の心の底まで照らしてくれるほんのりとした明るさの中に、「温かさ、安らぎ、癒し」そういったものを感じる。
これが提灯が何百年も作り続けられてきた要因であろうと思う。
だから私は「提灯は何だ」と問われたら「心の灯」と答えたい。
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 最近私のつくった駕籠提灯で'ほっとする里 静原'という作品を当社本店に隣接している「あかりの展示室」に展示発表しました。これは私が住む京都洛北の静原の里をイメージして製作しました。この提灯からの明かりが、少しでも見る人の心に「安らぎ、癒し」を与えてくれれば、私としては幸いである。

N.H