「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[仕事場だより]2012/01/06
当社では、ホームページで紹介しているように全製品を一貫して自社工場で行っています。
そして、その全ての工程が手作業で行われています。
しかし考えてみれば、あらゆる「もの」に囲まれている普段の生活の中で「手造りのもの」が一体どれだけあるでしょうか。大量生産、大量消費の時代にあっては、全てが画一化された工業製品が主流で殆ど見ることがないように思われます。
現在の提灯の形は江戸時代に確立されたものです。
蝋燭(ろうそく)を用いた照明器具として、提灯が必要不可欠だった当時とは違い、電気にその必要性を取って代わられた現在、提灯の役割も変わり、その需要は昔ほど無いのが現状です。しかし、そのことが、良くも悪くも提灯の製造工程が、機械化されることなく現在に於いても手造りによって作り続けられている所以なのです。
私は白張り(白無地の提灯の事を提灯屋さんではこう呼びます)にお客様から依頼された文字や、柄を描く作業を担っています。
字体は定番の筆字の楷書体もあれば、お客さまが自らパソコン等で作られたフォント文字もあり、多種多様です。
なるべく要望通り忠実に描くことを心掛けていますが、やはり手書きなので、どうしても提灯の形状上(竹骨があるので表面が凸凹しています)定規で引いたような線を描くことは、不可能に近いです。
たとえ真っ直ぐに描けたとしても、提灯のような丸い立体物の上では出来あがりは不均衡に歪んで見える為に、「歪んで見えないように微妙に調整」しなければなりません。
その調整には長年培った「勘(かん)」に頼るしかなく、大雑把にいえば「アバウト」(決して'雑'という意味ではなく)な感覚が必要です。
この「アバウト」さが手書きゆえの機械では真似のできない「味」だと考えています。
皆さんも身の回りにある数少ない手造りのものを見つけ出し、その「味」に触れてみるのはいかがでしょうか。
・・・追記・・・
先日、眼鏡を新調しました。
大手のブランド品や最近流行の「00円均一」の類ではなく、福井県の鯖江の職人さんによる手造りのものです。
現在では扱いが難しくあまりに使用されなくなった 昔ながらの素材が使用されたものです。
お店に並んでいる新品ではその違いが分かりづらいのですが、店員さんが言うには、「使い続けることによってその素材の違いが明確になってくる」そうです。
こういった経年変化を感じられるのも手造りの製品の醍醐味であり、職人さんの技とこだわりに感動させられ「いい買い物が出来た」と頬が緩んでしまうのでした。
製作部 H