「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[提灯を使った言葉集]2011/12/17
首提灯という落語があります。
あらすじは、こんな感じです。
江戸で酔っ払いの町人が、凄腕の剣の達人の武士に酔って絡(から)みます。
最初は達人も取り合わないのですが、あまりに町人がひつこいので、達人も遂には堪忍袋の尾が切れます。
怒った達人は、目にも止まらぬ早業で刀を抜いて町人の首を「シャキーン」と斬り、ふたたび鞘に刀を納めてその場を立ち去ります。
町人のほうは、あまりにも鮮やかな斬れ味だったので、首を斬られたことに気がつかない。
首は切れているけど、つながっている状態です。
しばらく歩いているうちに、だんだん首がずれてきて、
「あれ、おれの首の建て付けが悪いな?」と思いだします。
さらに時間が経って、ようやく自分の首が斬られたことに気づいた瞬間に、首がガクッと落ちそうになる。
それでもこの町人のんきなもので、「膠(にかわ)で修繕できるかな?」などと
考えながら歩いていると、町人の家の近所で火事が起こります。
「喧嘩と火事は江戸の花」と江戸っ子の町人は野次馬根性で走って、火事の家に近づくと、知人の家が火事で燃えていました。
「これは大変だ!早速火事見舞いに行かなければ」と知人宅につく頃に、首がいよいよ落ちそうになり、ぶらり提灯の様に自分の首を手に下げ「八五郎です」と挨拶に行く・・・。というもの
ストーリーだけ読むと、ちょっと気持ち悪い話のようですが、噺家さんが落語でいろいろな面白い所作や、お話を交えて演じられると、とてもユーモラスなお話になります。
近年では6代目三遊亭 圓生や林屋彦六などが演目にされています。
このお話を聞くと、昔の人の提灯の役割が少し見えてきます。
一つ目は「夜道、明かりとして手に持って歩くもの」二つ目は「自分やお店の印(しるし)となるもの」
一つ目の理由は、よく分かりますが、二つ目の理由は現代人には少し分かりづらいかもしれません。
江戸時代の風俗絵などによく描かれている提灯は、飲食店の人や、商店の人がそのお店の「紋」や「屋号」を
入れているものが多いです。提灯に明かりをいれると、夜でも目立ちますし、お客さんに分ってもらいやすくなりますね。
また、お店だけでなく、家で使われる提灯では「家紋」を入れ、その家の「印(しるし)」となります。
昔は家の玄関に、下の写真のような弓張提灯を提灯箱に入れて常備されていました。今でも、ある地域では家紋入りの弓張提灯を、お祭りやお盆のお墓参りに使用されます。また、お嫁入りに使われることもあります。
この落語の「首提灯」の最後の場面も、自分の首を提灯のように、「自分のしるし」として使っているオチに提灯屋として「ほほう」と感じます。
さて、このブログを見て、お家用の提灯が欲しくなられましたら、ぜひ我が社をご用命下さい。