提灯探訪ブログ

提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。

[仕事場だより]2014/03/27

春らしくなってきましたね。

いつも通勤で通る桜並木でも、蕾がかなり膨らんで、桜の開花ももう間もなく、という感じになってきました。


そして職場では、今年も五月人形用の陣屋提灯に紋入れをする季節を迎えています。
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金色や朱色の道具(上下枠)を付けた小さな絹張りの提灯が仕事場に並び、その真っ白な絹張りの火袋の表面に、黒い家紋を入れていきます。

毎年、この時期恒例の職場風景ですが、ここにも少しずつ変化があります。
家紋入れをさせて頂く提灯の数が、段々少なくなってきているのです。
少子化で、お子さんの数が年々減ってきているという事を提灯屋の仕事場でも実感させられています。
端午の節句をお祝いする形も、変わってきているのかもしれませんね。


そして、自分自身にも年を重ねるにつれて色々な変化があります。
その代表的なものは、やはり、視力の変化ですね。
以前は、作業をしていてもはっきりと見えていた細かい部分や、自分の使っている筆の先が、段々見え辛くなってきて...
今では作業をする時には、眼鏡が手放せなくなってしまいました。

仕事中は、いつも首から眼鏡をぶら下げて、手元を見る時には眼鏡をかけ、少し離れた所を見る時には外して...の繰返しで、"わずらわしいっ!"、でも"しょうがないか..."と、歓迎できない変化も受け入れつつ、日々仕事をさせて頂いています。


話は少し横道にそれますが...
眼鏡といえば、NHKの『にっぽん縦断こころ旅』という自転車旅の番組で、俳優の火野正平さんが使っておられる眼鏡...つるが後ろで一本につながっているので首から下げられて、眼鏡の真ん中部分がマグネットで開閉できるもの...
あれ、とっても良いですね!

視聴者の方からのお手紙を受けて、火野さんが毎回訪ねられる"心の風景"と共に、火野さんのその日のファッションと、日替わりの眼鏡を見るのも楽しみにしています。

"2014春の旅"が、もうすぐ始まりますね!


仕事の話に戻って...
昨年の事になりますが、私達の働く山科の工場に、地元の小学校の生徒さん達が、提灯作りの職場見学に来られました。

一学年・3クラスの生徒さんが、1クラスずつ交代で来られ、普段は中高年中心の大人ばかりの職場に、大勢の小学生の皆さんをお迎えして、そのかわいらしい様子に、こちらも慌ただしい中にも、何か気分がうきうきする楽しい時間を過ごさせて頂くことができました。

あの日は、まず皆さんに私達の職場"高橋提燈について"、"提灯作りの仕事について"、提灯の材料や、出来上がった製品に触ってもらいながらお話しをし、皆さんから事前に頂いていた質問にお答えしてから、"張り"と"印入れ"の職人の仕事を間近で見て頂きました。

職人の周りをぎっしりと囲んで、熱心に見学しておられる、皆さんのかわいらしい姿を後ろから見ながら、今日触れてもらった提灯作りが、"楽しいもの"、"身近なもの"として、小さな皆さんの心に少しでも残るといいな...と、思っていました。

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あの日の事で、もう一つ...
皆さんに提灯作りについてお話しするための参考として、江戸時代の職人の作業風景を描いた図版を用意したのですが、そこに描かれている、着物姿で、頭には髷を結った提灯職人の使っている道具類は、私達が日頃使っている道具と変わらない物で、目の前で体操座り(三角座り?)をして聞いて下さる小学生の皆さんにお話ししながら、この変化の激しい時代に、江戸時代と変わらない形で、伝統的な手仕事が成り立って、生きていることの面白さをその職場にいる者の一人として、改めて感じていました。


製作部 MY