「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
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[提灯豆知識]2013/01/10
提灯屋をしていると、度々お客様から「この提灯は何年保つの?」といった質問を頂くことがあります。
その際、いつも返答に困ってしまうのですが、正直申し上げて一概に「提灯の寿命は何年」とは言い切れません。
というのも、使用される条件(特に天気や、気候)によって大きく左右されるからです。
提灯の天敵は「雨」です。
弊社で作る提灯は屋外で使用されるものについては、雨水を弾くことを前提にコーティング作用を目的とした「油引き」と呼ばれる加工を施しています。
提灯の表面に特殊なな油を薄く塗りあげ、天日で数日間、自然乾燥させているのです。
但し、昨今の気象条件では珍しくなくなったゲリラ豪雨のような酷い雨ではこの加工であっても、完璧な効果は残念ながら発揮できません。
コーティングを抜けてしみこんだ雨水が糊を溶かし竹骨から和紙を剥がしてしまうからです。少々の雨なら効果を期待できるのですが、この点でも押し並べて「どの程度」とは正確には申し上げるには難しいのです。
また、提灯が濡れた状態では表面上和紙が剥がれてなくても、水分を含んだ糊は接着力が弱くなっている場合があります。その際無理に畳むことによって剥がれてしまうこともあるので、雨に濡れた場合は伸ばした状態で完全に乾かしてから畳まなければいけません。
お客様には少しでも長い期間、提灯をご愛用して頂きたいのですが、この「雨対策」については私達も常々頭を悩ませているのです。
製作部 H