「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[仕事場だより]2013/01/17
年末から年始にかけて今では少なくなった時代劇の映画やドラマをTVで放映していました。
長谷川一夫の「雪之丞変化」、中村勘三郎の「元禄繚乱」総集編、中村吉右衛門の「鬼平犯科帳スペシヤル」市川海老蔵の「一命」等ほとんど観賞しましたが、中でも全編が夜のシーンという「雪之丞変化」での提灯の扱い方は印象的でした。
この時代の街灯といえば神社とか街道沿いの常夜灯、それに辻あんどん、あとは飲み屋、屋台などの提灯がポツーンとともっている位で、そこら辺の通りになると日が落ちれば もうまっ暗 ほんとうにまっ暗。「真の闇」です。
そんな闇の中、駕篭かきの小田原提灯が画面の中心を 最初はオレンジ色のボーツとした点からだんだんとゆれながら大きくなって こっちへ向かって来る登場の仕方は提灯がまるで生きているような、存在感がありました。
市川昆監督の冴え渡った演出ですね。
画面の中心を最初はオレンジ色のボーッとした点からだんだんとゆれながら大きくなってこっちに向かってくる演出でしたが、これとよく似たシーンで、逆に画面の手前からオレンジ色の淡い弓張り提灯のあかりがだんだんと遠くなっていく、同監督の「獄門島」という石坂浩二が金田一を演じた作品もありました。
本当に一寸先は闇 足元は見えません。
提灯のまわりだけが、ほんのりと薄明るい。まさにミステリアスな映画の効果にはぴったりな提灯の使い方の上手い監督でした。
安全性の為、現在はほとんどが電球に変わりましたが提灯の中でゆうらゆらゆれる蝋燭のぼんやりした「あかり」もまた神秘的かつ、魅力的ではないでしょうか・・・(^.^)
こいものタイタン