「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[提灯豆知識]2012/06/14
京都は日本のどの地域よりも、手仕事が多く残されている場所ではないだろうか。
例えば、料理を作る為の鍋や包丁、そして盛り付るための器など、京都の街にはそれらを取り扱う老舗がたくさん存在しています。
ひとつには、祇園などの花街が今も健在で、よい道具を必要とする高級な割烹料理が多く存在することが理由としてあげられる。
そして、よく京都以外で温泉旅館などに泊まると、その地方での名前の知れた旅館では、「うちの板さんは京都で修業を積んできたから・・・」という具合に、あたかも京都で修業したから料理がおいしいと言いたいように、京料理がその旅館のセールスポイントになっている。
食べ物では、京野菜、京漬物、食べ物以外でも、京箪笥、京仏具など、頭に「京」の付くものを数えるときりが無い。
これは平安時代から続く京都の美意識が育む、でしゃばらず派手さが無いが、芯のしっかりとした少し高級感のある、長年使っていても飽きの来ない物作りの誠心、そしてそれらを必要とする人々が今なお多い。こういったことが京都で手仕事が多く残されている要因であると思う。
弊社も「京提灯」と呼ばれる提灯を作り続けている老舗である。京提灯の特徴は、何といっても手割した平骨を一本づつ掛ける、「地張り提灯」である。
一見、文字と紋だけのシンプルだが、ガッシリとした外観に見えるのが京提灯である。
少しコストが高くついても、地方の提灯には負けない確固たるものがある。他の地域から見れば、それはちょっと敷居の高いような雰囲気、その近寄りがたい何かが、プライドであり、ブランド力であると思う。
京都という手仕事をするには恵まれた立地条件で常に「京提灯」というブランドを意識して良い意味でのプライドを持って提灯作りに励むことが私たちの使命として頑張っていきたい。
N.H