「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[提灯レポート]2012/02/13
何年か前になりますが、長野県の塩尻の農協祭に出張宣伝販売を兼ねて参加したときのことをお話します。
農協祭の会場は長野県塩尻市小野地区というところで、この小野地区は、小野小町にゆかりのある信濃地方の二ノ宮小野神社、矢彦神社の七年に一度の大きな祭り「御柱祭」この地方の一大イベントを控えてのも催しです。
以前は松本市で提灯を販売される代理店が参加していましたが人手不足と採算が合わないということで廃業されたので、私たちが直接に京都から参加することになりました。
一泊2日の行程です。前の日は、商品や、展示品、備品等を車に積み込み5・6時間掛けて会場のJA小野支所につきました。
出店の場所決めや、翌日の打ち合わせ、下準備を済ませて夕方6時過ぎやっとホテルに着き、食事を済ませベットにもぐりこむというスケジュールでした。
翌朝早く食事もそこそこに会場へと向かいました。着くやいなや、出店準備です、大急ぎで提灯をつり、商品を並べお客様をお迎えする準備をし、完了すれば8時です。
さー 農協祭の始まりです。
近郷近在から大勢の老若男女、子供たちがつぎから次と、ごった返します。いよいよお祭り本番です。
農協職員と、私たち出入り業者による二階バルコニーからの餅まきがはじまりました。
老いも若きもこどもも男女入交じり、紅白餅、菓子包み、を上から投げかけ、また拾う、夢中で大勢の人々が競い合う。 なにしろ私たちは生まれてこの方始めてのお祭り餅まき行事の経験でした。都会では見たことのないあふれんばかりのエネルギーに感動したひと時でした。
さーてー 一段落して、次々とお客が詰め掛け始めました。食料品や野菜物、日用品、衣料品、と手に手に売れ行きは上々でしたが、当店には訪れるお客はまばらです。それでも時間がたつにつれ次第におとづれてくれる人も増え、見本のちょうちんを見てくれる人や、古いちょうちんを持つてきて問うてくれる人とか、やりとりも様ざまでした。
「やっぱ張替えできるじゃん 」「めし食って昼からさーもって来るじゃん」「あんた京都からきたっとか 」「私らは35年前から松本平のちょうちんを作っとるでなー」その地域の「ことば」のこんなやりとりで出張販売は結構忙しく、時間も経ち祭りも終わりに近づいてきました。
お問合せは、おもに家の軒先のしめ柄提灯、武者絵の描いた信州独特の提灯、神社用の絵柄いりの小田原提灯、先導の弓張り提灯とか、等々ありました。
遠隔地への提灯の販売となりますと、その地方、その地域の伝統文化を存続させていく為に現地の形状、可能な復元を常に心がけて製作してまいります。JAを通じて松本平のお祭りを盛り上げる一助になれば、大いに参加したいと思いながら帰途についておりました。
気がつけば秋の日も落ち夕景に鈴鹿の山並みも黒く遠く、京都までひとっ走り。
「注文が来ればいいがなあー」 長野の二日間でした。
Y.T