「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[仕事場だより]2011/10/20
慣れとは怖いもので、という話です。
京都市内中心部には路地(ろうじ)がたくさんあって、
その路地の入口やどん突きにはお地蔵さんの小さな祠(ほこら)がよく有ります。
お地蔵さんがおわす町内では地蔵盆があって・・・ということになるようですが、
京都出身とはいえ私は口丹波(くちたんば)の出で、地蔵盆には馴染みがありませんでした。
弊社製作部に入って初めて地蔵盆に使われる名入り提灯をまじまじと見た次第です。
以前から見かけていたけれどもよく知らなくて、という提灯は他にもあって、
例えばその小さなお地蔵さんの祠には片手に収まるくらいの小さな提灯が
吊るされていたりします。(祠吊提灯)
今は京都市内に住んでいるので、買物に行く道すがらそうした祠に出くわすことも
しばしばなのですが、日常目にしているのに外で出会うと妙に興味?や親近感がわくもので、
一緒に居たつれを相手に「これが幕柄いうて決まりの柄でな・・・」
と教えてもらったばかりの提灯知識を語り出し、ついその提灯を手に取ってしまい
「ぅおおぉい!触るな触るな!」
と言われてハッと我に返るというようなことがありました。
外で出会う提灯に見いってしまうことの理由はほかにもあって、
今年の夏前にはこんなこともありました。
夕方あるデパートの地下食料品売場へ行くと、鮮魚コーナーに下げられていたのは時節物の
"はも"と書かれた白いビニール提灯で。
そういえば数日前に製作部の先輩が同じようなビニール提灯に「はも」て書いたはったな・・・
と思いジロジロ眺めるものの、はたしてこれが弊社の納めた「はも」提灯なのかどうか
結局私には分からず、夕方のごったかえすデパ地下で、私は鮮魚ではなく
「はも」提灯のまわりをウロウロするばかりでありました。
先輩方曰く、
外で見かける提灯もうちでやったものかどうかそのうちわかるようになるとのことですが・・・。
ということで、製作に携わって間なしの者は外で提灯に出会うと滅多やたら近づいてしまう
という話でした。
製作部 田中A