「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[提灯を使った言葉集]2011/09/02
落語の短い小話の中で、「権助提灯」があります。
あるところにごお金持ちのの旦那様がおりました。
妾(めかけ=愛人)を囲っているが、本妻さんがいたって物分かりがよく、
またお妾さんの方も本妻を気遣い、立てるので、家庭内はは円満でした。
旦那は本宅と妾宅(しょうたく)に交互にお泊りしても、家庭円満というとても
うらやましい状況です。
ある夜、
旦那が本宅に帰ると、
本妻さんが、
「今夜は風が強く火のもとが心配だから、あちら(妾宅)に行っておやりなさい」
と言うので、
旦那はその言葉に甘えて、
下男の権助に明かりを灯した提灯を持たせ、供をさせて、妾宅へ向かいました。
するとお妾さんの方でも、本妻に義理を立てて、
「奥様に申し訳ないので今夜は帰ってください。」と言い、追い返されてしまう。
またも本宅へ引き返すと、本妻さんがお内儀さんが承知せず、家に入れてもらえない。
こうして何度も本宅と妾宅を行ったり来たりするうちに、提灯の火が消えた。
主人「おい、権助、提灯に火を入れなさい」
権助「それには及ばねえ。もう夜が明けちまっただ」 〔終わり〕
と、本宅と妾宅を何度も行き来しているうちに、夜が明けて、提灯の明かりが必要ではなくなったというお話。
お話の中では、「家庭円満」となっていますが、実はいつもは気のよい本妻さんとお妾さんが示し合わせて、
旦那にちょっと意地悪しているように感じました。
ともあれ、この話では江戸時代、提灯の明かりを灯さないと、夜道は歩けない。
提灯は生活に無くてはならない「灯り」だったのだと、分かるお話でした。