提灯探訪ブログ

提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。

[提灯豆知識]2011/08/18

地蔵盆について

「地蔵盆」と聞いて、京阪神地区以外の方は「?」と思われるかもしれません。
今日は地蔵盆についてのお話です。


地蔵盆(じぞうぼん)は、お盆月の地蔵菩薩の縁日(8月24日)を中心とした3日間の期間を指し、またそのうちの日を選んで行われる地蔵菩薩の祭のことをいいます。地蔵盆は一般には寺院に祀られている地蔵菩薩を対象とした祭りだけでなく、路傍あるいは街角(辻)の地蔵や、地域で祀られているお地蔵さんも対象となっています。

地蔵盆は滋賀県、京都府、大阪府、福井県若狭地方、神戸市など近畿地方を中心とする地域で特に盛んであり、地蔵盆では、地蔵のある町内の人々がこの日にかけて地蔵の像を洗い清めて新しい前垂れを着せ、化粧をするなどして飾り付けて、地蔵の前に集って灯籠を立てたり供え物をしたりしてお祀りします。
 
地蔵盆の日は「子供の祭り」として、地域の人々が、お地蔵さんを参りに来た、子供たちに菓子を配ったり、金魚すくいや、花火などのイベントで楽しませてくれます。
私たちの子供の頃は、夏休み後半の楽しみの一つでした。

そもそも、地蔵盆でお祀りされている地蔵菩薩とは、親より先に亡くなった子供が死後の世界である「賽の河原」で苦しんでいるのを救ってくれると信じられた菩薩さまです。
生活事情や流行病いなどで、幼くして夭逝する子供が多かった中近世以降、子供の守り本尊として信仰されてきました。

京都の地蔵盆では、子供が生まれると、その子供の成長を祈願し提灯を奉納します。
前にお地蔵さんの名前、後ろに子供の名前を書いた提灯を、地蔵盆が執り行われる会場で、飾ります。赤色や幕柄の提灯が飾られると、とても地蔵盆の会場が華やいだ雰囲気になります。

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町内のお地蔵さんに子供達が集い、お坊さんの読経に手を合わせます。
前のお地蔵さんの名前は、町内で飾られているお地蔵さんの名前が書かれています。一番多いお地蔵さんの種類は、「延命地蔵大菩薩」次に「南無地蔵大菩薩」が多いです。また、「天道大日如来」の提灯を飾られるお町内もあります。
大日如来さんは地蔵じゃないのに地蔵盆なの?という疑問もふとありますが、大日如来は中世時代、最高仏と信仰されており、やはり大切な子供を守ってくれる仏として信じられていたのではないでしょうか。ほかの地蔵盆と異なり、大日如来の縁日である8月28日の前後の土日の日程で行われることが多いです。提灯の両横に入っている紋も、お地蔵さんを表す「卍」ではなく、「大日輪宝」という、大日如来を表した紋が入ってます。


京都の提灯屋さんでは、6月頃より地蔵盆提灯の製作受付をし、8月上旬くらいから、製作に掛かります。8月中頃から、仕上がった提灯をお受け取りにお客様が一斉に、ご来店されるので、ちょっとした行列が出来たりなんかします。


今も昔も、「地域で子供を大切に思い、祈り、守る。」というこの地蔵盆の風習は後々の世までも残してゆきたいですね。

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子供たちの、夏休み最後の楽しみの一つです。