「提灯屋さん」責任編集。大提灯、祭り提灯製造と紹介。
提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。
[お祭り情報]2011/06/03
京都では、7月月になると街中が祇園祭のお祭りムードでいっぱいになります。
祇園祭の風景で、皆さんがよく写真やテレビで目にされる提灯はおそらく、宵山に山鉾を飾る「駒型提灯」であったり、商店街や、アーケードを飾られている提灯だと思います。
祇園祭の期間中、鉾町(山鉾を担っている町内)だけでなく、その周辺の町内も祇園祭用の家用の軒吊り提灯を玄関先に飾ります。実はこの軒吊り提灯、町内ごとで特徴が変わり、形や大きさだけでなく、前文字やデザインも様々あるのです。
お祭りが近づくと
お客様「祇園祭用の提灯つくってー」
提灯屋「どのような形、大きさですか?」
お客様「どんなんて・・あんまり覚えてへんけど、お祭りに使う普通の提灯やんか。みんな一緒の提灯やろ」
提灯屋「町内によりそれぞれ違うんですよ。お手持ちの提灯があれば見せていただけますか?同じように作りますので。」
お客様「そんなん、ボロボロやったし捨ててしもたわ。近所の人に借りてくるわ」
提灯屋「ご面倒おかけしますが、よろしく願いします」
というお客様とのやり取りを店頭にてよくします。
「町内ごとでそれぞれ違う」といっても、基本のデザインの決まりごとがあります。
まず、前に入る文字ですが、「御神燈」や「献灯」「賽照」などが多いです。いずれの言葉も「神様に火を捧げます」という意味です。字体も様々で、隷書体や楷書体、古文字だったりします。
次に両サイドに祇園さん(八坂神社)の神紋が入ります。神紋は二種類ありひとつは「左三つ巴」火の玉が三つが左回りしているような紋です。もうひとつは[
五瓜に唐花(ごかにからはな)です。
京都には 『 祇園祭が行なわれる七月は、胡瓜を食べない 』 という、古くから町衆の間に伝わる しきたり があります。この理由は、八坂神社の神紋の「五瓜に唐花(ごかにからはな)」 と輪切りにした胡瓜の切り口の模様 が似ていることから、八坂神社の祭礼である祇園祭の間に胡瓜を食べることは、「 恐れ多い 」 「 もったいない 」 ということ なのです。
この二つの紋は、いろいろなバリエーションであらわされます。色も紺色、薄墨入り、赤色、薄墨で書いた紋の周囲を赤線で囲ったりと様々です。大きさも小さく上品にいれられたものや、提灯よりはみ出そうなくらい大きな紋が入っていたりします。
また、町内の名前をデザイン化した「角字」をあしらってみたり、町名をイラスト化したマークを入れたりもします。例えば「布袋町」だと宝袋が提灯に記されています。また、祇園地域では提灯の裾に「祇園団子」と呼ばれる赤い団子が繋がった模様を入れます。
宵山に祇園囃子を聞きに京都の街中をぶらぶらすると、いろいろなところで、そういった提灯に出会うことが出来ます。今年の祇園祭はぜひ提灯を見て回ってください。